観戦記 12月27日(火)2回戦

男子シングルス

村本竜馬
(ジェイテクト)
2 21-12
16-21
21-18
0 沖本優大
(埼玉栄高校2年)

予選から出場している村本竜馬が高校2年生の沖本優大が対戦した。一回戦では村本は世界ランキング10位の奈良岡功大(IMG)(棄権)を、沖本は全日本学生優勝の野田統馬(日本体育大学)を下している。ともに好調な両者による好ゲームが期待された。

第1ゲーム、沖本が四隅シャトルを散らしていくも、スピード・パワーともに勝る村本がクロススマッシュを武器に8連続得点で13-5とリードを奪う。沖本はラリーで糸口を探るが21-12で村本が押し切る。

第2ゲーム序盤から村本が強打で攻め7-3。このまま行くかに思われたが、村本に疲労が見え始め、1ゲーム目のようにスマッシュが決まらない。我慢のラリーを続ける沖本が7-7と追いつけば、12-9、15-10と逆転して一気に引き離す。スピードを上げて沖本がシャトルを沈め21-16で奪いかえす。

ファイナルゲーム、お互いに点を取り合い、「まだ体力が残っていたので、勝負にいけた。」と沖本が話したように、ラリーで作ってスマッシュで決めるパターンで、7連続得点で15-10とする。しかし、劣勢の村本がここから奮起する。1ゲーム目で見せたスピードとパワーで押し切るプレーで沖本を攻め、スマッシュを沈めていく。クロススマッシュ、プッシュなどを決めて18-17で逆転に成功。最後は村本がスマッシュを叩き込み21-18としてベスト8入りを果たすと、感情があふれ出し大きな雄たけびをあげた。

試合後、沖本は、「ベスト8、B代表に入るのは1つの目標。そこに一歩届かなかったのは悔しい。その差を埋められるように頑張りたい。高校生の大会全部優勝してここに戻ってきたい。」とリベンジを誓った。

女子シングルス

郡司莉子
(再春館製薬所)
2 21-19
23-21
0 山北奈緒
(ふたば未来学園高校2年)

2019年世界ジュニア優勝の郡司莉子と予選勝ち上がりの高校2年生の山北奈緒が対戦した。

第1ゲーム、「緊張してしまった」と言いながらも高校生らしい思いっきりのいい強打を連打する山北に対して、郡司は切れ味のあるショットで得点を取り合う。17-17から、山北が意表を突くクロスネットなどで19-19と食らいつき、下剋上に期待が高まる。しかし、ここは経験の勝る郡司が冷静なプレーでスマッシュを沈め、最後はスマッシュを見送ってバックアウト、21-19で奪う。

第2ゲームの序盤はお互いに点を取り合う緊張感ある展開となる。試合が動いたのは、15-14の山北リードの場面。ここからというところで山北は攻め急いでクロススマッシュをサイドアウトしてしまう。そこから1ゲーム目同様、冷静なゲームメイクで要所を締めた郡司が23-21で接戦をものした。接戦を落としてしまった山北は、「実業団の選手相手にもラリーもできるようになってきたが、最後の点を、勝ち切れない。」と手ごたえは感じつつも、上位の選手との差を痛感しつつ、「選抜が(3月に)あるので、3冠をとれるように頑張りたい。」とさらなる成長を誓った。

郡司は、「(明日の対戦相手の)山口茜(再春館製薬所)が優勝すると思われているが、それをひっくり返す気持ちでしっかり先輩の背中を追っているということを見せられるような試合をしたい。山口さんは練習と試合で全然違うので、3年前(2019総合、八代白百合学園高校2年)対戦した時よりも成長した姿をみせられるようにしたい」と強い気持ちを話した。

男子ダブルス

井上拓斗/三橋健也
(BIPROGY)
2 21-15
20-22
21-16
1 下農走/金子真大
(トナミ運輸)

昨年決勝で悔しい思いをした井上拓斗/三橋健也が全日本社会人3位の下農走/金子真大が対戦した。

第1ゲーム、10-10から連続ポイントで抜け出した井上/三橋がリードを守って、21-15で奪う。第2ゲームは一転、終盤まで一点を争うシーソーゲームとなる。最後まで攻撃の手を緩めなかった下濃/金子が5連続ポイントで22-20の延長ゲームをものにする。

ファイナルゲーム、7-2と井上/三橋がスタートダッシュを切ってリズムを握る。下農/金子も必死の追い上げを見せるも、集中力を切らさなかった井上/三橋が21-16で準々決勝進出を決める。

準決勝では昨年の決勝の再現、日立情報通信エンジニアリングの高野将斗/玉手勝輝と対戦する。「克服しなければならないところも見つかったし、現在ではそれを克服できる可能性も上がってきている」と三橋、この一年間でレベルアップした戦いに期待したい。

女子ダブルス

大竹望月/髙橋美優
(BIPROGY)
2 22-20
21-14
0 小野菜保/福本真恵七
(再春館製薬所)

昨年の準々決勝と同じカードとなった。ファイナルゲームで小野菜保/福本真恵七が3位入賞を果たし、大竹望月/髙橋美優はリベンジに燃える。両ペアともに左利きで強打を武器にする小野と髙橋が後衛、福本と大竹がいかに前衛に入って、チャンスを作るかがカギとなる。

1ゲーム目、早いテンポでの連続攻撃の大竹/髙橋、完成度の高いコンビネーションの小野/福本がそれぞれの持ち味を出して、お互いに点を取り合う接戦となる。先にゲームポイントを握ったのは小野/福本だったが、「去年負けた相手で、2年連続同じ相手に負けることに対して考えてしまうことがあって緊張してミスが多かったが、気持ちで押し切ることができた(髙橋)」という大竹/髙橋のプレッシャーに対して、小野/福本にミスが出て、22-20で大竹/髙橋が奪う。

2ゲーム目に入ると、勢いに乗る大竹/髙橋が5連続ポイントで6-1と流れを掴む。「1ゲーム目の競った場面をものにできたのがよかった。気持ちに余裕がでてきて、やりたいことや試したいことができた」と大竹が振り返ったように、イキイキとしたプレーで小野/福本を翻弄し、7連続ポイントを奪うなどして21-14で大竹/髙橋が準々決勝に駒を進めた。

試合後、髙橋は「まだまだプレッシャーのかかった部分で出たミスはA代表に比べると劣っているので、明日からはもっと向かっていく気持ちでやりたい。」と話せば、「ベスト4をかけた戦いは初めてで緊張もあると思うが、挑戦者の気持ちで楽しくやりたい」と大竹が意気込みを語った。

混合ダブルス

西川裕次郎/尾﨑沙織
(NTT東日本)
2 21-14
21-16
0 西谷春樹
(三菱自動車京都)/
佐藤杏
(昭和電工マテリアルズ)

B代表、日本ランキング4位の西川裕次郎/尾﨑沙織が全日本社会人5位の西谷春樹/佐藤杏が対戦した。

第1ゲームは、西川の強打、西谷の緩急を織り交ぜた上からのショットでお互いに点を取り合い、11-11。尾﨑が前衛でチャンスを作って攻撃を作って3連続得点を3度奪うなどして、21-14で西川/尾﨑が奪う。

第2ゲームもその流れで西川/尾﨑が連続得点で13-6とリードを奪う。しかし、西谷/佐藤の粘りのラリーに対して「焦ってミスが増えてしまった」という西川にミスが目立つ。雲行きが怪しくなる中、「尾﨑が前衛で止めて、しっかりとゲームを作ってくれた。欲しい時に1点が取れた」と西川/尾﨑が決めて悪い流れを断ち切る。最後は西谷のスマッシュがサイドアウトとなり、21-16とした西川/尾﨑が準々決勝進出を果たした。

試合後、「国内で一番大きな大会、みんなこの大会に合わせてきているので、一戦ずつ戦っていきたい(西川)」、「国内で大きい結果を出せていないので、結果を出して次につなげられるように頑張りたい(尾﨑)」とそれぞれが語った。

山下恭平/篠谷菜留
(NTT東日本)
2 21-12
24-22
0 三上楓
(三菱自動車京都)/
石澤未夢
(PLENTY GLOBAL LINX)

世界ランキング14位と今年大きくジャンプアップした山下恭平/篠谷菜留が三上楓/石澤未夢を迎えた。

第1ゲーム、勝気な篠谷の前衛と、見ていて気持ちのいい躍動感のある山下の強打でテンポよく山下/篠谷が連続得点を重ねていく。攻撃の形を作る山下/篠谷に対して、防戦一方となってしまった三上/石澤は糸口を見つけられないまま、21-12で山下/篠谷が奪う。

「第2ゲームは簡単なことしかできなくて、工夫してプレーできなく、ミスが増えてしまった」と篠谷が振り返ったように流れが変わり、お互いが点を取り合うシーソーゲームになる。我慢比べの長いラリーでは、三上/石澤は気持ちを切らさず石澤が前衛でチャンスメイクして、三上が鍛え上げられたフィジカルからのスマッシュで決めていく。20-20とどちらに転ぶか緊張感が高まる中、勝利を引き寄せたのは世界で転戦してきた山下/篠谷。篠谷がプッシュを決め、最後は山下のリターンが三上/石澤の間に決まり、24-22。

試合後、「厳しい戦いになってしまって反省点が多いが勝ててよかった(篠谷)」、「明日につなげられてよかった(山下)」と安堵の表情を見せつつ、初優勝を目指して気持ちを切り替えていた。

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