観戦記 12月26日(月)1回戦

男子シングルス

高橋洸士
(トナミ運輸)
2 19-21
21-7
21-14
1 齋藤駿
(ふたば未来学園高校3年)

昨年、類まれなるスピードとラリー力で総合3位入賞とジャンプアップを見せた髙橋が、インターハイチャンピオンであり高3世代を牽引する齋藤駿との1回戦に臨んだ。

互いにスマッシュ&ネットを軸としたラリーが展開され、序盤から熱戦模様を感じさせる点の取り合いとなる。長い手足を駆使して、チャンスで力強いスマッシュを打ち込んでいくスタイルの齋藤に対し、高橋は健脚を活かした速すぎるフットワークで確実にシャトルを自分のポイントで捉えて応戦する。第1ゲームでは、齋藤がネットプレーを徹底して高い位置でのタッチでチャンス球を多く演出して決め切るなど相手にプレッシャーをかけ続け、終盤19-19から抜け出して21-19として接戦のゲームを奪取する。

第2ゲームは、うって変わって開始から9連続得点と高橋の独走で進んでいく。持ち前のスピードに乗って、スマッシュを両サイドに小気味良く打ち分けていき、齋藤の追随を許さない。「組み立てを変えられてうまく対応できなかった」という齋藤は、足の入っていない手打ちのリターンが増え、ショットの精彩を欠いてしまう。終始「快走」を見せた髙橋が21-9で奪い返す。

共に気持ちを強く持って臨んだファイナルゲーム、齋藤は立て直しを見せてラリーについていき、要所でクロスへのショットを効果的に決めて9-7とリードする。必死の得点を重ねた齋藤であったが、必死なプレーの連続ゆえ疲労も大きかったのか、プレーの質を維持することが出来ない。対照的に、全くスピードを落とすことなく駆け回る高橋は、終始正確なストロークでキレのあるショットを打ち続け、後半になるほどその決定率も上がっていく。後半は高橋の独壇場となり、最後はラウンドからのクロススマッシュを沈めて21-14。高橋は両腕でガッツポーズをして喜びを表した。

「この1年間、国際大会を経験して攻めの大事さを知った。ラリーを大事にしつつ、スピードを上げて攻撃を仕掛けていくことを意識した」という高橋。更なる進化と快進撃が楽しみだ。

古賀穂
(NTT東日本)
2 21-18
22-20
0 小川翔悟
(法政大学)

B代表脱却と更なるステップアップを狙う日本ランキング6位の古賀穂(NTT東日本)が、予選を勝ち上がってきた小川翔悟(法政大学)の挑戦を受けた。

第1ゲーム、ショットの高低や緩急を巧みに操り、クレバーな配球でラリーの主導権を握る古賀が終始リードして進め、危なげなく20-15でゲームポイントを握る。ここから小川が粘りの好プレーで追いあげるも、バックプッシュをかけてしまい、21-18で古賀が先取。

第2ゲーム、ラリーに対応して攻撃の手数を増やした小川がリードを奪い、古賀は追いかける展開となる。「この1年で体力強化はできた。最後にスピードアップできたのがよかった」という古賀は、終始徹底したラリーをしつつも、15-19の場面からは素早いタッチで見事なアタックロブを放っては次の球をしっかり決めるなどし、4連続得点をあげて19-19と追いつく。ここからクロスリターンをアウトにしてしまい、相手にゲームポイントを奪われるが、集中力を切らすことなく正確なラリーに徹して得点を奪い返し、最後はクロススマッシュを沈めて22-20。「優勝を目指したい」と語る古賀が無事に2回戦進出を決めた。

村本竜馬
(ジェイテクト)
1 21-18
18-21
12-10
1
棄権
奈良岡功大
(IMG)

日本ランキング1位、世界ランキング10位で勢いのある奈良岡功大が村本竜馬と対戦した。長い我慢のラリーで1ゲーム目を村本、2ゲーム目を奈良岡が取り合い、迎えたファイナルゲーム、試合時間109分となったところで奈良岡が棄権。棄権は、左ひざの上や股関節など複数箇所の故障によるものとのこと。

女子シングルス

宮崎友花
(柳井商工高校1年)
2 20-22
21-15
24-22
1 水井ひらり
(NTT東日本)

11月に開催された世界ジュニアバドミントン選手権大会を制覇した高校1年生の宮崎友花が、B代表の水井ひらりと顔を合わせた。一気にスターダムを駆け上る宮崎が、昨年のファイナリストの水井に対し、どのように戦うか注目が集まった。

第1ゲーム、宮崎は同じフォームから打ち分けられる多彩なショットを操るものの、水井の正確でミスのないラリーに苦しむ。「自分にとってやりにくいコートだった」という宮崎は、コートにも恵まれずと徐々に点差をつけられてしまう。宮崎は11-16から素早いタッチで相手を左右に動かし、20-20と追い上げるが、最後はミスが重なり20-22で奪われてしまう。

第2ゲームは宮崎の攻めが冴える。左右の揺さぶりに加え、ロビングの高低差で相手を翻弄する。一方の水井は、風の影響かロビングが安定せずアウトが目立つ。宮崎が5連続得点で10-5と抜け出すと、フォアからのクロススマッシュをエースショットに何度も決め、21-15で奪う。

ファイナルゲーム、意地を見せたい水井の四隅、高低に打ち分けたショットに宮崎は苦しめられ、3度の4連続得点で9-16と劣勢になる。しかし、「チェンジエンズして得意なコートが回ってきた。相手の動きが遅くなったのを見て、逆にギアを上げた。」と話す宮崎は、シャトルを高い位置で捉え、アタックロブで相手の体勢を崩す。7連続得点で16-16として、試合を振り出しに戻す。一進一退の攻防を観客が固唾を飲んで見守る中、強気に攻めたのは宮崎。特に、相手のヘアピンに対し、臆せず2回連続でヘアピンを返す姿が印象的だった。最後はスマッシュを決めた宮崎が、24-22で大逆転勝利を収めた。

試合後、水井は「自分にできる最大限のパフォーマンスをしようと考えていた。球を繋いで我慢しようとする意識が足りなかった。来年は気持ちを新たに、練習を重ねたい」と話し、宮崎は、「最初は緊張していたが、徐々に動きが良くなった。次も挑戦者として、どこまで行けるか自分を試してみたい」と、両者更なる高みに向けて意気込みを語った。

香山未帆
(BIPROGY)
2 21-14
21-18
0 吉川天乃
(倉敷中央高校3年)

全日本社会人で準優勝を果たしたBIPLOGYの香山未帆は初戦、母校倉敷中央高校の後輩であり、今年のインターハイで優勝に輝いた吉川天乃と対戦した。

第一ゲーム、吉川がパワーあるプレースタイルで積極的に香山をコート奥に追い込み、ゲームを序盤から勢いよく攻めの姿勢でスタート。対する、香山はしぶといレシーブと丁寧な繋ぎ球でラリー戦に持ち込む形で対応し、自分のペースへと持っていく。リズムに乗った香山は要所にスマッシュを取り入れ、確実に得点を重ねる。香山が中盤で吉川を引き離し、21-14で先取。

第二ゲーム、さらに硬さの取れた香山は序盤連続得点で吉川を引き離す。しかし、吉川は今年のインターハイチャンピオン、ここから持ち味の粘りとパワーの気迫あるプレーで盛り返していく。その勢いに少し押されたようにも見えた香山だったが、冷静さを保ったプレーで着実に点数を重ね、21-18で一回戦突破を決めた。

香山は明日、同世代の仁平菜月(トナミ運輸)と対戦する。「直近の全日本社会人選手権で勝った時のイメージをしっかりもって明日の勝利に繋げたい」と二回戦への意気込みを語った。

男子ダブルス

霜上雄一/野村拓海
(日立情報通信エンジニアリング)
2 21-18
21-9
0 櫻井煌介/南本和哉
(瓊浦高校3年)

全日本社会人3位の霜上雄一/野村拓海がインターハイ準優勝の櫻井煌介/南本和哉と顔を合わせた。

第1ゲーム序盤、高校生ペアは長身を生かした櫻井が後衛で相手を崩し、小柄の南本が前衛で仕留めていくコンビネーションで、実業団ペアと互角の戦いを繰り広げる。先に勢いに乗ったのは5連続得点をあげた櫻井/南本。だが、この2年間で着実に経験を重ねてきた霜上/野村は徐々に緊張もほぐれきたプレーで冷静さを取り戻す。序盤のリードに慌てることなく、少しずつ点差を縮めると同時に自分たちのペースを立て直し、霜上/野村は13-12で逆転し、苦しみながらもこのゲームを21-18で先取した。

第2ゲーム、第1ゲーム後半で自分たちのペースをしっかり掴んだ霜上/野村は緩急をつけた球回しで櫻井/南本の攻撃の形を作らせない。自分たちの得意なプレースタイルをさせてもらえない櫻井/南本は点数に繋げられず、勢いを失っていく。7連続得点で主導権をしっかり握った霜上/野村が21-9で圧倒し、2回戦へとコマを進めた。

霜上/野村は明日、同チームで昨年優勝の高野将斗/玉手勝輝と対戦する。「挑戦者なので、全部出し切る気持ちで頑張りたい。勝って、ナショナル入りを目指したい」と両者口を揃え、高みを目指す闘争心を見せた。

高野将斗/玉手勝輝
(日立情報通信エンジニアリング)
2 21-18
21-7
0 大田隼也/佐々木大樹
(高岡第一高校3年)

昨年全試合ストレート勝ちで総合初優勝を飾った高野将斗/玉手勝輝が、昨年の高校選抜、今年のインターハイで優勝の大田隼也/佐々木大樹と対戦した。挑戦者となる大田/佐々木には、高校生らしい気迫あるプレーが期待された。

第1ゲームは、ドライブを中心とした低空戦が展開される。両ペアとも甘いリターンに素早く反応して、攻めの形を作ってはスマッシュを沈めていく。大田の「気迫あるプレーを意識した」の通り、声を出し、気持ちを前面に出したプレーで喰らいついていく。しかし、主導権を握ったのは今年1年間B代表として活動してきた高野/玉手。要所でミスなく球を送り、18-12とする。大田/佐々木はギアを上げて飛びついての強打の連打で1点差まで詰め寄るも、冷静にゲームをコントロールした高野/佐々木が21-18でこのゲームを奪う。

第2ゲームは玉手の前衛が光る。研ぎ澄まされた読みで積極的に前に入り、浮いた球をプッシュで沈めていき、高野/玉手が主導権を握る。一度も連続得点を与えず、昨年の全日本総合の覇者としての貫禄さえ感じる堂々たるプレーで高野/玉手が21-7で2回戦進出を決めた。

試合後、高野/玉手は「やるべきことをしてきたから、自信を持って臨むことができた。去年と同様に、目先の1戦に臨むだけ。次の相手は身内で手の内を知り尽くしているが、向かっていくような気持ちで、1点1点取りに行きたい。」と話し、全く奢らない真摯な姿勢が伺えた。

女子ダブルス

永原和可那/松本麻佑
(北都銀行)
2 21-12
21-7
0 木山琉聖/古根川美桜
(四天王寺高校3年)

インターハイ準優勝の木山/古根川が世界ランキング9位、2回目の優勝を狙う永原/松本と初対戦した。2大会連続世界女王にも輝いたこともある永原/松本に対してどこまで通用するが注目された。

トーナメントが決まった時から、「向かっていく気持ちを作って臨んだ」という木山/古根川であったが、永原の後衛からの強打、長身の松本の圧力のある前衛の超攻撃的プレーを前に圧倒されてしまう。木山/古根川の強みはレシーブ力であったものの、世界トップクラスの永原/松本のアタック力は初体験で「簡単に前に落としてしまって、引いてしまった」と振り返った。また、ドライブを左右に打ち分けて、前衛に木山、後衛に古根川の形を作ろうとするも、松本の前に出てくるスピードが速く、作ることができない。

終わってみれば、一度もリードを奪えず試合終了。永原/松本が貫禄を見せつけた。

中西貴映/岩永鈴
(BIPROGY)
2 21-12
21-14
0 石川心菜/清瀬璃子
(青森山田高校3年/2年)

国内外で安定した戦いを続ける中西貴映/岩永鈴が、今年の高校生女王である石川心菜/清瀬璃子の挑戦を受けた。

清瀬のスマッシュが決まって始まった第1ゲーム、アタック攻勢を仕掛けようとする高校生ペアに対し、中西/岩永はミドルコートのスペースを巧みに突いた配球でリードを奪っていく。石川/清瀬は、足を動かしては速いリターンで決める場面もあったが、流れを引き寄せるまでは至らない。テンポよくラリーを制した中西/岩永が21-12と幸先よく先取した。

第2ゲーム、相手の球自体はよく見えている中西/岩永は、攻守で上回って序盤からリードこそ奪って進めていくが、前ゲームと違ってシャトルコントロールに苦しむ。「相手の勢いに引いてしまう部分もあった(中西)。ラケットを早く振りすぎてしまったことがあった。(岩永)」と振り返るとおり、かみ合わない場面も見られる。それでも徐々にアジャストして見せた中西/岩永は、終盤前衛が決め切る場面が増え、14-11からは抜け出す。終わってみれば21-14と、十分に差を見せつけた一戦となった。

混合ダブルス

西大輝/佐藤灯
(龍谷大学)
2 21-18
16-21
21-19
1 仁平澄也/朝倉みなみ
(NTT東日本)

8月に実施された全日本学生ミックスでペアを結成した龍谷大学の西(2年)/佐藤(4年)が、昨年のファイナリストで第5シードの仁平/朝倉と対戦した。

5月のランキングサーキットでは、西は別のペアリング(植村 理央:龍谷大学)にて17位決定戦で負けており、「今日は絶対勝とう」と強い気持ちで臨んでいた。

第1ゲーム、第2ゲームともに序盤のドライブ、前衛で崩してからの強打をお互いに沈めていき、高いレベルでの駆け引きで主導権争いが展開される。第1ゲームは西/佐藤、第2ゲームは仁平/朝倉がそれぞれ抜け出して、奪い合う。

ファイナルゲーム、6-9の劣勢で、佐藤は「前衛でシャトルをしっかり沈め、上からの打ち分けが上手な西を活かす得意のパターンに持ち込めた」とチャンスメイクし、「今年ラスト試合で出し切ろう、思いっきり楽しめた」という西が躍動する。17-13とこのまま行くかに思われたが、B代表の意地を見せる仁平/朝倉に17-18と一時逆転を許すも、勢いで押し切った西/佐藤が21-18として嬉しい2回戦進出を果たした。

予選から勝ち上がってきた西/佐藤。西が「一個一個向かっていく。全力を毎試合出していきたい」と話せば、佐藤は「ベスト8入りしたい。死ぬ気でやりたい。」とこの大会への強い思いを語った。明日は大学生同士の対戦で山下蒼羽(日本体育大学)/染谷菜々美(筑波大学)と対戦する。



全日本学生ミックスダブルス優勝の小川翔悟/宮澪里(法政大学)をファイナルゲームで退けた荒井大輝(金沢学院クラブ)/清水望(昭和電工マテリアルズ)

大学時代からのペアの山田尚輝(NTT東日本)/池内萌絵(七十七銀行)が長谷部伸洋(アーガスBMC)/倉本梨香(伊予銀行)を危なげない試合で2回戦へ駒を進める。

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