

武井凜生(NTT東日本)が30歳になってもなお進化が止まらない西本拳太(ジェイテクトStingers)に挑んだ。第1ゲームは、試合巧者の西本に有利に進められてしまい、奪われてしまう。第2ゲームも同様に西本先行で進むが、「もう後がない状況でやるしかないどうなってもいいからっていうふっ切れた気持ちがいい方向に行ってくれた。我慢して我慢して相手が先にミスしてくれた。」と武井が終盤じわりじわりと3点差を逆転して、23-21で奪い返す。ファイナルゲームもしっかり準備できたという武井が出だしに連続ポイントを重ね、主導権を引き寄せる。最後まで気持ちを切らせず、粘りのプレーを続けた武井がうれしい初のベスト8入りを果たした。「上の人らにも勝てる練習環境・練習量でやってきた自信はあるので、まだまだ満足せず、もっともっと上を目指していきたい」と力強くコメントした。
また、日本代表を引退した常山幹太(トナミ運輸)と次世代のホープとして期待される沖本優大(BIPROGY)が対戦。1ゲーム目沖本、2ゲーム目常山と奪うも、海外遠征への帯同などで練習できていなかったという常山の動きはファイナルゲームで精彩を欠き、沖本が3回戦進出を果たした。
砂川温香(柳井商工高校3年)と明地陽菜(再春館製薬所)の柳井商工高校の先輩後輩対決となった。149cmの小柄ながら、巧みなフットワーク、体の使い方で自在にショットを打ち分ける砂川が1ゲーム中盤から連続ポイントで抜け出して奪う。2ゲーム目は1点を取り合うシーソーゲームになるが、砂川のショットが3本連続でアウトとなるなど、ファイナルゲームへ。砂川は、序盤の5連続ポイントをアドバンテージに、20-17で先にマットポイントを握るが、先輩の意地を見せた明地のフォアからのクロスドロップが決まるなど、5連続ポイントの逆転・敗退となった。試合後、砂川は、「最後の一点のところで、そう簡単には取れないし、すごく重たい一点なんだなって気付かされた試合だった。」と悔しさを滲ませた。
また、5度目の優勝がかかる山口茜(再春館製薬所)は、広島ガスの近藤七帆と対戦した。「試合前から右ふくらはぎが気になっていた」とのことで、動きに精彩を欠く。1ゲーム目を奪われ、2ゲーム目途中で棄権となった。試合後、山口は、「しっかりやって負けるよりも残念な終わり方になってしまったが、ケガなので仕方がない。今年1年は、企業の方の応援などに支えられて結果が出たと実感している。普段からサポート、応援いただいている方にいつも以上に感謝したい1年となった。来年は、今年より結果も内容も充実させた1年にしたい。」と語った。
日本代表入りを目指す熊谷翔/西大輝(BIPROGY/龍谷大学)が大学生ペアの江頭桜空/高栁大輔(法政大学)と対戦した。「自分たちが得意とする大きい展開で、自信をもってできた」という熊谷/西が主導権を握って、1ゲーム目を17本で奪う。一歩も引かず、気迫あふれる強気のプレーをやめない江頭/高栁に対して、「相手のプレッシャーやメンタル的にプレーの幅が小さくなってしまった(熊谷)」、「自分が前で勝負できなくて、相手の土俵で戦ってしまってた(西)」と弱気になってしまった熊谷/西は2ゲーム目を奪われてしまう。ファイナルゲームは一点を争う展開から地力で勝る熊谷/西が18-14とするも、江頭/高栁の気迫のこもったプレーで押され、4連続ポイントなどでマッチポイントを握られてしまう。追いかける苦しい展開の中、思い切って攻めた熊谷/西が逆転に成功し22-20でベスト8入りを決めた。「自分たちもこの試合に照準を合わせてきた、代表に入りたい(熊谷)」「代表入って世界で戦っていきたい。明日しっかり勝てれば代表選考にもかかってくると思うので、気を引き締めてやりたい(西)」が意気込みを語った。
インカレ優勝の大学3年生ペアの中出すみれ/田邉裕美(龍谷大学)が憧れの選手である、福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原)に挑み、11本15本で敗れた。「向かっていこうっていう気持ちはあったが、レシーブがすごい堅くて弱気になってしまい、自分たちの持ち味である攻めとか思いっきりさが出せなかったのは悔いが残った(中出)」、「すごい場慣れされてて風をつかむのがすごい上手で、自分たちは最後の方でしか風をつかめなかったから、そこの差がすごい大きい。自分たちに足りないこととかがすごいたくさんあったので、頑張りたい(田邉)」と語った。
新しいペアリングで優勝を目指す五十嵐有紗/櫻本絢子(BIPROGY/ヨネックス)が伊藤朱里/伊瀬友花(山陰合同銀行)を12本11本で下した。「二人としての大会数がまだまだ少ないので、一試合でも多くやって、その中で自分たちの課題をもっともっと見つけていきたい。まずは今回それぞれ持っているものを二人で出しながら頑張りたい(櫻本)」「目標としては優勝なので、そこに向けて一戦一戦二人で話し合いながら勝ちにこだわる試合をしたい。(五十嵐)」と意気込みを語った。
昨年3位、一年間B代表として活動してきた霜上雄一/保原彩夏(日立情報通信エンジニアリング/ヨネックス)が小川航汰/水津優衣(ジェイテクトStingers/ACT SAIKYO)を迎えた。「一試合一試合集中して、気を抜かずに一本一本という気持ち(霜上)」、「相手どうこうっていうよりかは、自分のやることをしっかりやる。点差とか気にせず、常に自分の役割を意識した(保原)」と要所を押さえ、12本14本で3回戦進出を決めた。明日は篠谷菜留/柴田一樹(NTT東日本)との対戦となり、「去年、準決勝で篠谷さん(パートナーは山下恭平)に負けてるので、しっかりリベンジという気持ちを持って二人で頑張りたい」と霜上が語った。
昨年の覇者の篠谷は、今年の全日本総合を最後としている。柴田は「相手(霜上/保原)もB代表なので、三人の胸を借りる気持ちで、篠谷さんを30日まで連れていくことだけを考えてミックスは頑張ってやっていきたい。」と意気込みを語った。