2年連続3度目の優勝を目指す田中 湧士(NTT東日本)は、飛躍を目指す二十歳世代トップの沖本 優大(BIPROGY)の挑戦を受けた。正確なラリー戦からピンポイントに仕掛けてくる沖本に対して「コート環境への適応がうまくできないままの内容だった」という田中だったが、打1ゲーム序盤でリードを許しながらも、海外転戦で磨いてきたスピードと持ち前の積極性で立て直して逆転、17本で奪う。第2ゲームでは快調に抜け出して大量リードを奪い、終盤に猛追を受けながらも逃げきり、19本で制した。「この1年は国際大会を通して、やってはいけないこと、やっていいことの(プレーの)メリハリがついて、変に考えなくてもいいことが増えた。明日はスピードを今日の倍くらい出して、持っているものを出して戦いたい」と語った田中は、準決勝で昨年の決勝戦を戦ったチームメイト・武井 凛生(NTT東日本)と対戦する。
日本のエースの座を不動としながらも、この全日本総合のタイトルが取れていない奈良岡 功大(NTT東日本)は、開戦を追うごとに調子を上げている。プロ選手として研鑽を続ける古賀 穂(AC長野パルセイロBC)との準々決勝では、序盤こそ相手のスピードあるプレーに合わせた戦い方が目立ちリードを許すが、優れたディフェンス力と戦況を見定めたクールなプレーで一気に優位な展開に持ち込み、14本18本で制した。準決勝では衰えしらずのベテラン・西本 拳太(ジェイテクトStingers)を迎え撃つ。
2年ぶりの代表復帰を目指した戦いの22歳 水津 愛美(ACT SAIKYO)と、現在この種目の世界ランキングで日本勢3番手につけている23歳の郡司 莉子(再春館製薬所)の、負けられない者同士が対戦した。共にスピード感あるラリーを持ち味とする中、第1ゲームは水津が16本取り、第2ゲームは積極的な攻撃がうまくはまった郡司が12本で取り返した。「コートの関係もあって点差をつけられて落としたものの、後半に高さのあるロブを打ってみたら(押し負けない手ごたえを感じて)落ち着いた」という水津は、ファイナルゲームで攻撃に優位な前半を11-5で折り返すと、後半に入るとさらに集中し、攻撃・揺さぶりに確実に対応して8本に抑える完璧なゲームメイクで勝利をつかんだ。
この2人と同じく国際大会で着実に成長を見せている21歳の明地 陽菜(再春館製薬所)は、チームの先輩にして日本のエースである山口 茜(再春館製薬所)に挑んだ。明地は巧みな配球と、「勝負できていた」という素早いネット前への踏み込みからの打ち分けで相手を大きく揺さぶる。第1ゲームは終盤の追い上げ、第2ゲームでは前半~中盤のリードと流れを引き寄せる場面も多々見られたが、いずれも百戦錬磨の山口をとらえられず、19本19本で敗退となった。確実に勝利をつかんだ山口は、準決勝で水津と対戦する。
もう片方の山の準決勝では、不死鳥にしてこの種目のパイオニア・奥原 希望(東京都バドミントン協会)と、19歳のディフェンディングチャンピオン 宮崎友花(ACT SAIKYO)が共に持ち味を発揮して相手を圧倒し、準決勝進出を決めた。
この種目の成長株である熊谷 翔/西 大輝(BIPROGY)は、2年連続で準々決勝を柴田 一樹/山田 尚樹(NTT東日本)と戦った。対戦機会が多い両ペア、熊谷/西は「大きな展開にしすぎた(西)」「積極性を欠いていた(熊谷)」と振り返った通り、柴田/山田の超積極プレーに後手をとってしまい、13本で落とす。それでもうまく切り替えた熊谷/西は第2ゲームからは本領を発揮。西が素早い判断と見事な飛び出しでフロントコートを制すと、熊谷も得意のスマッシュをコースよく放って西のフィニッシュを次々に演出。11本、12本で第2・第3ゲームを奪って2年連続の準決勝進出を決めた。準決勝では、前回王者の山下 恭平/緑川 大輝(NTT東日本)との再選となり、リベンジマッチに燃える。
相澤 桃李/佐野 大輔(ジェイテクトStingers)と霜上 雄一/野村 拓海(日立情報通信エンジニアリング)による所属チームのエース同士の対戦は、序盤から激しい攻防での点の取り合いとなった。サービス周りから長いリーチを生かした早いタッチで積極的に仕掛ける相澤/佐野に対してラリー全体でスペースを巧みに使って球を沈める霜上/野村がいずれも19本で第1・第2ゲームを分けあう。ファイナルゲームも18-18と息をのむ展開で最終版を迎えたが、「割り切ってしっかり攻めていけた」という霜上/野村がここから連続で決めてマッチポイントまでこぎつけると、最後は鋭いリターンを決めて21-18、最終試合にしてこの日最長となった83分の激闘を制した。準決勝では昨年と同じく岡村 洋輝/三橋 健也(BIPROGY)と対戦する。共に1年の成長をぶつけて頂点を目指すための戦いだけに、準決勝も熱戦が期待される。
相澤 桃李(右)/佐野 大輔(ジェイテクトStingers)
霜上 雄一(右)/野村 拓海(日立情報通信エンジニアリング)
岡村 洋輝(奥)/三橋 健也(BIPROGY)
川邊悠陽(左)/松川 健大(日立情報通信エンジニアリング)今年からの新ペアで全日本社会人を制してこの総合に参戦している櫻本 絢子/廣田 彩花(ヨネックス/岐阜Bluvic)が、大学生チャンピオンの中出 すみれ/田邊 裕美(竜谷大学)と対戦。コンビネーションよく軽快な動きで攻め込んでくる相手に先行を許して第1ゲームを失ったが、「しっかり相手の球筋を読んで対応できた(桜本)」「相手の球をよく見た球出しでかわせた(廣田)」と振り返るとおり、素晴らしい切り替えを見せた櫻本/廣田が守りから勝機を見出して揺さぶり、強力なアタックにつなげた。第2・第3ゲームを12本17本で奪取し勝利をつかんだ。準決勝では福島 由紀/松本 麻佑(岐阜 Bluvic/ほねごり相模原)との対戦だったが、福島はふくらはぎを痛め、松本はすねの痛みが強まったため、櫻本/廣田の決勝進出が決まった。
今年の結成以降、積極的な海外転戦などを通して着実に力をつけた保原 彩夏/廣上 瑠依(ヨネックス)が、伸び盛りの高卒2年目ペアである清瀬 璃子/原 菜那子(岐阜Bluvic)と対戦。勢いよく強打を軸に襲い掛かる清瀬/原に対して、保原/廣上は堅実に対応。攻めに関しては、保原は「しっかり決められず球を置きに行ってラリーを長引かせてしまった」と反省するが、「シンプルに引かない意識で、最後まで気持ちを強くプレーできた」という廣上が我慢の展開からもしっかりと決め切り、14本14本でストレート勝ちをもぎ取った。準決勝ではオリンピックメダリスト同士の新ペア・志田 千陽/五十嵐 有紗(再春館製薬所/BIPROGY)を相手に、今日以上の強い気持ちで勝ちに行く。
志田 千陽(右)/五十嵐 有紗(再春館製薬所/BIPROGY)
大澤 佳歩(左)/田部 真唯(山陰合同銀行)
福島 由紀(左)/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原)
山北 奈緖(右)/鈴木 陽向(NTT東日本)新たなペアでの初トーナメントとなった古賀 輝/齋藤 夏(ジェイテクトStingers/PLENTY GLOBAL LINX)が、日本代表ペアの吉田 翼/関野 里真(日本体育大学/ヨネックス)と対戦した。「昨日までと違って観客が近く、緊張感が増して普通の人みたいになってしまった」という古賀が振り返った通り、うまくリズムに乗れず競った立ち上がりで第1ゲームの中間で11-10だったが、共に世界で磨いてきた実力は揺るぎなく、後半には抜け出しを見せて21-14。第2ゲームは”簡単なミス”が減った古賀/齋藤が攻撃の時間を多く作り序盤でリードを奪うと、古賀の強打、斎藤のフロントでの駆け引きで確実に上回り、危なげなく21-14で制した。準決勝では同じく新ペアで参戦の第1シード、緑川 大輝/松山 奈未(NTT東日本/再春館製薬所)との負けられない戦いが待っている。
第2シードで今大会を戦う霜上 雄一/保原 彩夏(日立情報通信エンジニアリング/ヨネックス)は、昨年足踏みをした魔の準々決勝でどちらに転ぶかわからない大接戦となったが、一進一退の攻防を粘り切り、22-20、24-20で竹内 宏気/川添 麻依子(岐阜Bluvic)を下して準決勝進出を決めた。準決勝では日本の混合ダブルス第一人者が引っ張る渡辺 勇大/田口真彩(J-POWER/ACT SAIKYO)に挑む。
古賀 輝(左)/齋藤 夏(ジェイテクトStingers/PLENTY GLOBAL LINX)
吉田 翼(右)/関野 里真(日本体育大学/ヨネックス)
緑川 大輝(前)/松山 奈未(NTT東日本/再春館製薬所)
下農 走(右)/大澤 陽奈(金沢学院クラブ/ACT SAIKYO)