日本の保木/小林が2連覇に挑戦!
ライバル筆頭はインドネシア勢か
*世界ランキング(WR)は7月19日現在
もっともスピードと迫力ある球の応酬が繰り広げられ、息もつけないほどスリリングなのが男子ダブルスだ。
前回の世界選手権では、保木卓朗/小林優吾が日本に初の金メダルをもたらし、保木は「成長を感じられる優勝になった」と喜びをかみしめた。
2人が2019年の準優勝から改善したのはレシーブ力だ。もともとアタック力に定評があったが、小林は「自分は保木ほどのレシーブ力がなかったんです」と振り返った。全体練習後もタン・キムハ―コーチと自主練習に取り組み、課題を克服。小林のレシーブ力が上がったことで、戦術の幅も広がり、成長につながった。
保木は日本での世界選手権を前に「連覇を狙えるのは自分たちだけ。優勝は2022年最大の目標です」と気を吐いている。
バドミントンが国技のインドネシア勢は個性豊か
そんな2人のライバルとなるのは、小林が「あのペアは別格」と敬意を払うマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルヨ(インドネシア)だ。
五輪のメダルや世界選手権のタイトルこそないが、トリッキーなプレーで2017年秋から世界1位に君臨。今回、間違いなく優勝を狙っている。バドミントン愛好者にとっては、スカムルヨの対戦相手を幻惑する技術の高さにも、とびきりのおもしろさを感じられるはずだ。
またインドネシアには、37歳&34歳のベテラン、ヘンドラ・セティアワン/モハマド・アッサン、攻撃型のファジャル・アルフィアン/ムハマド・リアン・アルディアントもいる。
さすがにセティアワン/アッサンはスタミナに欠けるが、世界ランキングは3位で、どんな速い球にも対応できるゲーム巧者っぷりは見事だ。優勝すれば、セティアワンは5回目で自らの男子ダブルス最多記録を更新することになる。ちなみに北京五輪優勝のセティアワンは、日本の実業団にも所属したことがある親日家だ。
また世界5位のアルフィアン/アルディアントは、20代後半を迎えて経験値が増し、攻めのバリエーションを増やした。保木/小林に似た勢いがあるペアで、初のビッグタイトルへの自信を深めている。
世界トップに名乗りを上げたいマレーシアやインドペアたち
もちろん、ほかにも猛者たちはいる。インドネシア同様、バドミントンに国技の誇りを持つマレーシアからは、東京五輪銅のアーロン・チア/ソー・ウィイック、2021年世界選手権3位のオン・ヨーシン/ティオ・エーイも出場し、鉄壁のレシーブで上位へ勝ち進みそうだ。
さらに東京五輪金の王齊麟/李洋(チャイニーズ・タイペイ)は思い出の東京でふたたびビッグタイトルを狙う。東京五輪では、決して優勝候補ではなかった2人が、大砲を轟かし、大舞台に強いのは実証済みだ。
日本や東南アジア勢の陰に隠れがちだが、今年5月のトマス杯でインドを初優勝に導いたサトウィクサイラジ・ランキレッディ/チラーグ・シェッティ、欧州ナンバーワンのキム・アストルプ/アンダース・スカールプ・ラスムセン(デンマーク)も虎視眈々と頂点を見据える。どちらのペアも長身で、長い手足を器用に使って、高い打点からの豪砲につなげる。
日本からは、保木/小林以外にも日本の2番手を担う古賀輝/齋藤太一、2021年世界選手権8強の竹内義憲/松居圭一郎が出場。バドミントンファンは大きな声援で日本の背中を押してあげてほしい。
『写真:BADMINTON PHOTO/日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:BADMINTON PHOTO/NBA 2022/T.KITAGAWA』
世界選手権・男子ダブルス優勝者 (2013~2021年) |
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2021年 | 保木卓朗/小林優吾(日本) |
2019年 | アッサン/セティアワン (インドネシア) |
2018年 | 李俊慧/ 劉雨辰(中国) |
2017年 | 劉成/張楠(中国) |
2015年 | アッサン/セティアワン (インドネシア) |
2014年 | 高成炫/申白喆(韓国) |
2013年 | アッサン/セティアワン (インドネシア) |
世界選手権2021メダリスト | |
金メダル | 保木卓朗/小林優吾(日本) |
銀メダル | 何濟庭/譚強(中国) |
銅メダル | オン/ティオ(マレーシア) |
銅メダル | アストルプ/ラスムセン(デンマーク) |