大会の見所 女子ダブルス

中国&韓国は前回のメダリストが優勝候補

*世界ランキング(WR)は7月19日現在

27回目を迎える世界選手権で、女子ダブルスは中国が21回優勝と圧倒的な強さを見せてきた。今回も中国は強いが、日本と韓国も負けず劣らずの力を備え、優勝はこの3カ国によって争われそうだ。

まず中心になりそうなのは、東京五輪で銀メダルの陳清晨/賈一凡。25歳ペアは、今年出場した大会で4回優勝を飾り、頭ひとつ抜けている。第1シードにふさわしい圧倒的な攻撃力を誇り、2連覇3回目優勝を狙う。目標を達成すれば、最多記録タイとなり、歴史に名を刻むことになる。

かつて「ダブルス王国」と呼ばれた韓国からは、李紹希/申昇瓉(韓国)金昭映/孔熙容(韓国)が、初優勝をもくろむ。どちらのペアも韓国らしいレシーブの堅さに、鋭いスマッシュやカットを加えたニュータイプで、攻撃のリズムに乗ったときの勢いがすさまじい。5月の女子国別対抗戦・ユーバー杯の決勝では、この両ペアが中国と大激戦を繰り広げ、勝負をものにした姿を覚えている人は多いはずだ。

前回の世界選手権で李/申は銀メダル、金/孔は銅メダルに留まっただけに、今度こその思いが強いはずだ。ユーバー杯での強さを再現できれば、韓国に27年ぶりの優勝をもたらすことが十分可能だ。

日本は勢いある“シダマツ”に大きな期待

志田千陽/松山奈未(日本)
志田千陽/松山奈未(日本)

世界ランキングトップ10位内に3組がランクインする日本ペアも優勝候補の一角だ。世界2位の福島由紀/廣田彩花、同5位の志田千陽/松山奈未、同6位の永原和可那/松本麻佑は、いずれも頂点に近い位置にいる。

なかでももっとも勢いがあるのは、3月の伝統ある全英オープンで初優勝を飾った志田/松山だろう。2014年、初めて組んだ世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得し、2016年に本格的に組み始めた。速射砲のような連続攻撃が持ち味で、互いにポジションを換えながらテンポよく点を奪っていく。

後衛を務める志田は、「もしメダルを取れたら自信もつく。私たちにとって大事な大会になりそう」と気持ちを明かしている。世界選手権で頂点に立ち、2024年のパリ五輪で金メダルを獲得することが、2人が思い描く理想の青写真だ。

また世界選手権で3度2位の福島/廣田、2度優勝の永原/松本は、昨年ともにケガに苦しみ、低迷した悔しさを、大舞台で晴らしてほしい。現在、どちらのペアもケガから復調し、福島/廣田は7月のインドネシアオープンで2位、永原/松本は、6月のマレーシアオープン3位と強さを取り戻している。地元の声援をバックに本来の力を出し切ってくれるのを期待したい。

下剋上を狙う世界ランカーたち

ジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイ(タイ)
ジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイ(タイ)

もちろん中国・韓国、日本だけに優勝争いをさせるつもりはないと、他国も意気込む。タイのジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイマレーシアのピアリー・タン/ティナー・ムラリザラン、ブルガリアのステファニー・ストエバ/ガブリエラ・ストエバは上位常連で、特別な緊張のかかる大舞台ではあるが、下剋上を起こせるだけの地力がある。

若手では、2018年世界ジュニア優勝の22歳ペア、劉玄炫/夏玉婷(中国)や、全英オープン3位など今年のワールドツアーで上位に食い込んでいる金慧貞/鄭那銀(韓国)がおもしろい存在だ。強いチームメイトたちとの厳しい練習で、今年に入ってから世界ランキングを急上昇させている。挑戦者の強みを発揮してトップランカーを苦しめそうだ。

『写真:BADMINTON PHOTO/日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:BADMINTON PHOTO/NBA 2022/T.KITAGAWA』

世界選手権・女子ダブルス優勝者
(2013~2021年)
2021年 陳清晨/賈一凡(中国)
2019年 松本麻佑/永原和可那(日本)
2018年 松本麻佑/永原和可那(日本)
2017年 陳清晨/賈一凡(中国)
2015年 趙芸蕾/田卿(中国)
2014年 趙芸蕾/田卿(中国)
2013年 王暁理/于洋(中国)
世界選手権2021メダリスト
金メダル 陳清晨/賈一凡(中国)
銀メダル 李紹希/申昇瓉(韓国)
銅メダル 松本麻佑/永原和可那
銅メダル 金昭映/孔熙容(韓国)