東京五輪のメダリストにタイペアを加えた4ペアを軸に展開か
東京五輪で渡辺勇大/東野有紗が混合ダブルスの3位決定戦を制し、日本勢で唯一となるメダルを獲得。2人の戦いを通し、この種目が持つ独特の魅力にハマった人も多いだろう。
光るのは、男子の豪打に臆さず前へ切り込む女子の勇気、そしてシングルス選手のように動きながら、スマッシュを打ち続ける男子の脅威のスタミナ。勝敗を分けるカギは、女子が前、男子が後ろという、混合ダブルスの典型的な陣形をいかに崩すかにある。
優勝筆頭候補は鄭思維/黄雅瓊
まさに頭脳戦が繰り広げられるこの種目は、東京五輪のメダリストたちを主役にして展開されそうだ。なかでも金にもっとも近いと目されているのは、東京五輪銀の鄭思維/黄雅瓊(中国)だ。
東京五輪決勝では、12勝2敗で大きく勝ち越していた王懿律/黄東萍(中国)にまさかのファイナル負け。しかし、その後は、約4カ月の休養期間を経て、昨年12月の世界選手権で復帰し、今年5月以降は、出場した6大会すべてで優勝と、破格の強さを見せている。
今回大会優勝となれば、ロンドン五輪金の張楠/ 趙芸蕾(中国)に並ぶ、3回優勝の最多タイ記録を樹立することになる。五輪の悔しさを晴らすためにも気合を入れてくることだろう。
一方、王懿律/黄東萍もワールドツアー上位を変わらずキープしており、五輪金メダリストの真価を猛打で証明しにかかる。
渡辺/東野は日本初の金を目指す
圧倒的な破壊力を誇る中国2ペアに対抗するのは、東京五輪銅の渡辺/東野、そして前回王者のプアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ)だ。日本、タイペアはどちらもスピードある展開が持ち味で、実力は拮抗している。
たとえば、前回の世界選手権・決勝ではタイペアに軍配が上がり初優勝。しかし、今年3月の全英オープンの準決勝では、渡辺/東野がリベンジ果たし、頂点へ駆けあがった。ちなみに決勝の相手は、王懿律/黄東萍で、渡辺の緩急ある球と、東野の大胆なプッシュを十分生かしての勝利だった。
渡辺/東野には、日本の応援をバックに全英オープンでの強さを再現してほしいところ。世界選手権で日本勢が優勝したことがないのは混合ダブルスのみで、優勝できれば最後に残された牙城を崩すことになる。
このほか、王座を狙ってくるのは、前回銅のベテラン、鄧俊文/謝影雪(ホンコン・チャイナ)、韓国の徐承宰 /蔡侑玎らか。実力者揃いで、どのペアが決勝へ上がってもおかしくない。
日本からは、前回、銅メダルを獲得した山下恭平/篠谷菜留、全日本チャンピオンの緑川大輝/齋藤夏、さらにリオ五輪女子ダブルス金の松友美佐紀が金子祐樹と組んで出場する予定だ。
『写真:BADMINTON PHOTO/日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:BADMINTON PHOTO/NBA 2022/T.KITAGAWA』
世界選手権・混合ダブルス優勝者 (2013年~2019年) |
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2021年 | プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ) |
2019年 | 鄭思維/黄雅瓊(中国) |
2018年 | 鄭思維/黄雅瓊(中国) |
2017年 | アーマド/ナトシール(インドネシア) |
2015年 | 張楠/ 趙芸蕾(中国) |
2014年 | 張楠/ 趙芸蕾(中国) |
2013年 | アーマド/ナトシール(インドネシア) |
世界選手権2021メダリスト | |
金メダル | プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ) |
銀メダル | 渡辺勇大/東野有紗(日本) |
銅メダル | 山下恭平/篠谷菜留(日本) |
銅メダル | 鄧俊文/謝影雪(ホンコン・チャイナ) |