男子シングルス1
国内での久しぶりの有観客試合。悔しい初戦敗退
シットヒコム・タンマシン(タイ) 13-21 / 21-16 / 21-13 常山幹太(日本)
日本のスピードスターで世界ランキング14位の常山幹太と、タイの世界ランキング33位のシットヒコム・タンマシンが対戦した。2019年8月のタイオープン以来の対戦で、3勝1敗と常山が勝ち越している。
第1ゲームは、常山が持ち前のスピードを活かしたプレーでテンポよく得点を重ねていく。一度もリードを与えず21-13とする。
「1ゲーム目は飛ばないコートだったが、2ゲーム目は飛ぶ方のコートで迷ってしまった。低い展開になってしまい、後ろをうまく使えなかった。」と常山が振り返ったように、配球が単調になってしまい、シットヒコム・タンマシンの我慢のラリーからの強打にあと一歩が届かない。このゲームを16-21で奪われてしまう。
ファイナルゲーム、「体力的にはまだまだやれたが、精神的に硬くなってしまった」という常山は流れを変えることができない。お互いに点を取り合うも、最後は7連続でポイントをシットヒコム・タンマシンに奪われ、13-21で常山は悔しい初戦敗退となった。
試合後、常山は「悔しい気持ちで一杯です。オリンピックが無観客で、この大会には家族や友人が来てくれているのにふがいない姿を見せてしまった。」と悔しさを口にしつつ、来週に控えるダイハツ・ヨネックスジャパンオープンに向けて、「大阪は第2の故郷、気持ちを切り替えて準備したい。自分のプレーに自信をもってやりたい。」と力強く話した。
男子シングルス2
長いラリーを制した西本、声援を味方につけ2回戦進出
西本拳太(日本) 21-15/ 21-19 アンダース・アントンセン (デンマーク)
世界ランキング21位の西本拳太が、1勝7敗と負け越している世界ランキング3位のアンダース・アントンセンと対戦した。攻守ともに高いレベルで完成されているアントンセンをどのように攻略するかに注目された。
第1ゲーム、西本のオーバーヘッドショットが光る。得意とする長いラリーに持ち込もうとするアントンセンに対して、トップスピードに乗った西本が強打で断ち切っていく。一度もリードを許すことなく、21-15で西本が圧倒する。
第2ゲームは、西本が引き続きスピードに乗って仕掛ける一方、アントンセンもコートを広く使ったラリーでペースを作り、息を飲むような互角の展開で進んでいく。「我慢することを意識した」という西本は、焦らず鍛えられた足腰でコートを駆け回り、要所でスマッシュを沈めていく。15-15で試合が動く。体力的にもかなり苦しい場面にもかかわらず、西本はさらにスピードを上げてスマッシュを決めるなどして5連続ポイントでマッチポイントを握る。アントンセンは意地を見せて強打で追い上げるも、最後はネットショットが返らず、地元開催の声援に後押しされた西本が21-19で勝利を収めた。
試合後、西本は「2ゲーム目の中盤で苦しい場面があったが、たくさんの声援のおかげで踏ん張ることができた。優勝という目標に向かって、今回の勝利を無駄にせず、ひとつひとつにこだわってやっていきたい。」と話した。世界選手権初優勝に向けて、意気込みは十分だ。
女子シングルス1
大堀、鋭いショットが光るもあと一歩及ばず
グエン・トゥイ・リン(ベトナム) 12-21 / 21-19 / 21-11 大堀彩(日本)
前回大会1回戦負けを喫している世界ランキング27位の大堀彩が、世界ランキング60位のグエン・トゥイ・リンと顔を合わせた。大堀にとって世界ランキングが下の相手ではあるが、日本初開催の初戦の緊張感の中、いかに持ち味のスマッシュを打てるかが勝負の分かれ目になるだろう。
第1ゲームの序盤から白熱した展開となる。大堀は、フォアからのカットスマッシュを中心に、相手を崩しにかかる。一方のグエンは、大堀のレシーブが甘いことに着目し、積極的にプッシュを狙う。硬さの取れた大堀は、スピード、ショットの精度が上がり8連続得点で15-7とし、勢いそのままに21-12でこのゲームを奪う。
第2ゲームもこの勢いで大堀が圧倒すると思われたが、「力んでしまった」と振り返った大堀はショットに精細を欠き、6-10と流れに乗れない。大堀はレシーブで我慢し、得意のスマッシュで反撃を試みるも、強気で攻め続けるグエンに押されて、19-21で奪われてしまう。
ファイナルゲームは、両者声を出して気迫を全面に押し出したプレーになる。しかし、2ゲーム目を取って上り調子のグエンに対して、大堀はミスを修正することができない。終わってみれば11-21で、大堀は2大会連続の1回戦負けとなってしまった。
大堀は試合後、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープンでは、勝ち負けだけでなく、最後までシャトルを追う姿を見て欲しいです。」と話し、次のトーナメントへ気持ちを切り替えた。
女子シングルス2
中国のスピードスター、勢いに乗る韓悦が相手を圧倒
韓悦(中国) 21-14 / 21-15 チー・シュェフェイ(フランス)
2017年の世界ジュニア銀メダリストで世界ランキング22位、勢いに乗る22歳の韓悦が、世界ランキング43位のチー・シュェフェイと対戦した。
1ゲーム目、韓悦はスピードを活かしたラリーでチャンスを作り、スマッシュを有効打で点を重ねていく。一方のチーは、低いロブとクリアを軸に四隅に打ち分けて相手を揺さぶっていく。お互いに点を取り合うも、ギアを上げた韓悦が得意のスマッシュ&ネットで15-11と抜け出し、このゲームを21-14で奪う。
2ゲーム目も、韓悦のペースで試合が進む。チーはロングサーブからショートサーブに変え、短いラリーで打開しようとするが、スピードで上回る韓悦に対応されてしまう。地力の差なのか、チーに疲れが見え始めるのと対照的に韓悦のスピードはさらに上がる。最後まで足を動かした韓悦が21-15で2回戦進出を決めた。
危なげなく勝利した韓悦。次の対戦相手は、これまで3連敗を喫している、プサルラ・V・シンドゥ。世界ランキング上位に対して、このスピードが通用するのか。世界トップクラスの対戦に心が躍る。
男子ダブルス1
喜びと課題の見えた世界選手権初出場・初勝利
岡村洋輝/小野寺雅之(日本) 21-11 / 19-21 / 21-15 マヌ・アットリ/B. スミース・レッディ(インド)
世界ランキング52位の岡村洋輝/小野寺雅之と世界ランキング57位のマヌ・アットリ/B. スミース・レッディが対戦した。2017年の対戦では、インドペアに軍配。それから5年、23歳で伸び盛りの岡村/小野寺がどこまで成長しているかをはかるにはよい組み合わせとなった。
「(インドペアは)スマッシュがあまり強くなく、レシーブメインの自分たちと相性がよい」と岡村がいうように、岡村の後衛からの緩急を織り交ぜたショットを有効打に8連続ポイントで13-3として流れを引き寄せ、21-11でこのゲームを奪う。
第2ゲームに入って、後のないインドペアはギアを上げる。マヌ・アットリは強い体幹からの連打、 B. スミース・レッディはしなやかで長い手足を活かした強打を武器に攻め立てる。そのため、「自分が前で作らなければならないのに、引いてしまった」と小野寺が振り返ったように日本ペアは追いかける展開になる。前半にできた4点差は大きく、1点差まで追い上げるも反撃はここまで。インドペアに19-21で奪われてしまう。
ファイナルゲームは、「自分たちのスピードが落ちていて、相手のペースになっていた。スピードを上げて、大きなプレーをした(岡村)」と岡村/小野寺が抜け出す。自分たちのプレーができないインドペアはリズムに乗れず、ミスが目立ち始める。結局は岡村/小野寺が21-15で初勝利を掴んだ。
試合後、「うれしいが、内容としては半分ぐらい。明日は格上、100%を出し切らないといけない。出し切れるように二人で話をしていきたい」とさらなるステップアップに向けて小野寺が力強く語った。
男子ダブルス2
勢いのある若手ペアを完封。
ハードな熊本合宿を乗り越えて心身ともに充実
竹内義憲/松居圭一郎(日本) 21-12 / 21-7 姜珉赫/金載煥(韓国)
前回大会でうれしいベスト8入りを果たし、世界ランキング34位の竹内義憲/松居圭一郎と、世界ランキング65位ながら勢いのある韓国の姜珉赫/金載煥が対戦した。23歳の姜珉赫は2017年の世界ジュニアで銅メダルを獲得した実力者でもあり、竹内/松居がどのように迎え撃つかに注目が集まった。
第1ゲーム、低い展開を得意とする韓国ペアに対して、松居が前衛で素早く反応し、シャトルを沈めて攻撃の形を作り、2度の5連続ポイントで7-4、14-5と抜け出し主導権を握る。最後は金載煥のプッシュがネットにかかり、21-12で竹内/松居が奪う。
第2ゲームに入っても、流れは変わらない。低い展開から攻めの形を作ろうとする姜/金に対して、竹内/松居は簡単に上げずに左右のオープンスペースにリターンしては強打で決めていく。連続10ポイントで大量リードを奪い、21-7で2回戦進出を果たした。終わってみれば、竹内/松居のゲームメイクの巧さが際立った試合だった。
明日は、お互いに手の内を知り尽くした古賀輝/齋藤太一と対戦する。「自分たちのパフォーマンスを出すだけ(松居)。きつい熊本合宿を経て、調子はいい。声を出して勢いよく二人で頑張っていきたい(竹内)」と意気込みを語った。
混合ダブルス1
一つ一つ大事に。自信をもって臨んだ山下/篠谷が2回戦へ
山下恭平/篠谷菜留(日本) 21-13 / 21-17 ウィリアム・ヴィルガー/アンネ・トラン(フランス)
前回大会銅メダルを獲得し、世界ランキング29位の山下恭平/篠谷菜留と、世界ランキング55位のフランスのウィリアム・ヴィルガー/アンネ・トランが対戦した。21歳のウィリアム・ヴィルガーは190㎝で、いかに強打を抑え込むのかが鍵になる。
第1ゲーム、山下が後衛から小気味よく左右に動かせば、篠谷は強気に前に出て攻めの形を作っていく。フランスペアは、篠谷にシャトルを集めては好機を狙うが、山下/篠谷の巧みな配球と素早いローテーションを前に封じられてしまう。終始攻めを貫いた山下/篠谷が一度もリードを許さず、21-13で奪う。
第2ゲームは、長いラリーでフランスペアにリードを許し、追いかける展開となる。4連続ポイントで10-10と追いつけば、「(これまで)引いてしまうことが多かったが、うまく対応できた」と山下、「(対戦相手よりも)強く、経験のある渡辺勇大/東野有紗、金子祐樹/松友美佐紀と一緒に練習している。自信をもってプレーできた」と篠谷が振り返ったように、どちらに転んでもわからない場面で堂々とプレーしているように感じられた。山下/篠谷は、セオリー通り空いたスペースにシャトルを送り、相手を動かして攻撃の形を作っては決めていく。3連続ポイントで16-13、4連続ポイントで20-15として、最後は篠谷がプッシュを沈めて21-17で2回戦へと駒を進めた。
明日は、世界ランキング13位のマシアス・クリスチャンセン/アレクサンドラ・ボイエ(デンマーク)と対戦する。「一つ一つやっていきたい」と山下が意気込みを語った。
『写真:日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:NBA 2022/T.KITAGAWA』