女子シングルス1
貫禄の勝利。連覇を意識せず、1球1球にしっかり準備を
山口茜(日本) 21-12 / 21-15 グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)
連覇を狙う、世界ランキング1位の山口茜が世界ランキング24位のグレゴリア・マリスカ・トゥンジュンと顔を合わせた。ランキングでは差はあるものの、6月と7月の大会では2連敗と苦汁をなめさせられているだけに大事な初戦となる。 「うまさと速さのある相手。(前回対戦時には)1球1球に対する準備が足りていなかった。今大会初戦で緊張はなかったが、直近負けている選手で気になっていた」という山口が臨んだ。
第1ゲーム、山口が3-6とリードされ、不安がよぎる。しかし、「相手のショットに準備して動けた」と山口が集中力を高め、スピードを上げて5連続ポイントで逆転すれば、そこからは山口の独壇場となる。グレゴリア・マリスカ・トゥンジュンの強打に対してリターンし、低いクリアとカット、スマッシュで次々に決めていく。8連続ポイントを奪うなどして、21-13で山口が奪う。
第2ゲーム序盤、お互いに得点を取り合うも、6-6から山口が抜け出す。「点差はあったが、2ゲームの終盤まで余裕はなかった」という山口だったが、21-15と危なげない試合展開で3回戦進出を果たした。
観客が一体となって手拍子が送られるなど、コロナ禍前の懐かしさも感じられた。「久しぶりに日本のお客さんの前で試合ができてよかった。手拍子は日本らしい」と話した。また、連覇については、「気にせずやりたい。自分からの攻撃、ラリーを作って、もっとプレーをよくしていきたい」と淡々と語った。
女子シングルス2
ケガからの復帰戦、自分らしいプレーで逆転。
髙橋沙也加(日本) 9-21 / 21-16 / 21-13 金佳恩(韓国)
世界ランキング14位の左腕、髙橋沙也加が世界ランキング19位の金佳恩と対戦した。髙橋は右ふくらはぎの肉離れからの復帰戦であり、「勝ち負けよりも自分らしいプレーをしたい」と臨んだ。
第1ゲーム、「出だしがすごい悪かった」と髙橋が振り返ったように、自らの簡単なミスで連続得点を与えてしまう。プレーにも迷いが見られ、いつもの思いっきりのよさが影を潜める。171㎝の金佳恩の強打にも対応できず、9-21と失う。
第2ゲームに入ると、「開き直った」という髙橋の動きが見違えるようによくなる。テンポよく四隅に打ち分けてはスマッシュを沈めていく。一方の金佳恩は切れ味あるスマッシュとカットで喰らいついていくが、ミスがなくなってスピードに乗った髙橋は、手が付けられない。ラウンドからのクロスをフィニッシュショットとして、じわりじわりとリードを広げて21-16で奪いかえす。
ファイナルゲーム、「攻撃だけでなく、守備もよくなっている。焦らずチャンスまで我慢」という髙橋は、ヘアピンショットとはじくようなアタックロブでチャンスを作ってはスマッシュで決めて行く。疲れの見える金佳恩のミスにも助けられ、序盤からのリードを守って21-13と逆転勝利を収める。
3回戦は、山口茜と対戦する。「まずは自分のプレーを。明日休んで臨みたい。」と目の前の試合を一つ一つ大事に集中していきたい心境を話した。
混合ダブルス1
いいスタートで快勝!息の合ったコンビネーションでさらに上を狙う
緑川大輝/齋藤夏(日本) 21-14 / 21-13 ファビアン・デルリュ/ヴィラマ・ヒエロー(フランス)
昨年の全日本総合優勝、世界ランキング59位の緑川大輝/齋藤夏が世界ランキング75位のファビアン・デルリュ/ヴィラマ・ヒエローと対戦した。緑川/齋藤はパリ五輪出場を目指しており、先を走る山下恭平/篠谷菜留が1回戦突破を決めているだけに、なんとしても勝ちたい。緑川が161㎝と小柄なものの、埼玉栄高校時代からのペアリングのこの二人はコンビネーションを持ち味としており、テンポのよいアタックは見ていて気持ちがいい。
大会2日目で日本代表が出場する全4試合のスターティングゲームとして、会場に詰め掛けた多くの観客が緑川/齋藤を拍手で迎えた。プレッシャーのかかる中、緑川/齋藤は初出場とは思えない、落ち着いた立ち上がりを見せる。「相手が上げてくれて攻めることができた。出だしがすごくよくて、波に乗れた」という緑川が、緩急を織り交ぜた上からのショットで、連続ポイントで10-3として、主導権をしっかりと握る。着実に得点を重ねて、21-14で緑川/齋藤が奪う。
2ゲーム目に入ると、フランスペアは大きい展開からドライブやネット前を多用するようになる。「シャトルが飛ばない体育館で、自分が後ろに下げられてしまうこともあったが、自分たちの攻撃ができた」と手ごたえを話した齋藤が巧みに左右に打ち分けて前衛に入って、攻めの形を作っていく。7-7からの5連続ポイントで勢いに乗れば、さらに点差を広げて21-13としてうれしい初勝利を掴んだ。
試合後、「今日の出来は50%ぐらい。これからまだまだ上がっていくと思う。コミュニケーションをとっていきたい。」と緑川が話したように、持ち味であるコンビネーションの質を高めていくことが、格上のマーク・ラムスフス/イザベル・ロハウ(ドイツ・WR12位)から金星を挙げるには必須となる。
混合ダブルス2
格上相手に堂々のプレー。我慢して掴んだ金星
山下恭平/篠谷菜留(日本) 21-13 / 21-18 マシアス・クリスチャンセン/アレクサンドラ・ボイエ(デンマーク)
混合ダブルス2回戦に前回大会銅メダリストの山下恭平/篠谷菜留が登場。世界ランキング13位のマシアス・クリスチャンセン/アレクサンドラ・ボイエに挑戦した。
デンマークペアはどのショットも高い水準で、長身のマシアス・クリスチャンセンのスマッシュは脅威だが、格上の相手に対して、山下/篠谷に力みや緊張は感じられず自然体なプレーを見せる。レシーブで左右に動かして攻撃の形を作っていく。我慢しきれないデンマークペア、特にマシアス・クリスチャンセンにミスが目立ち、山下/篠谷が21-13で奪う。
2ゲーム目は、昨日の1回戦と同様に、ドライブやネット前勝負の展開が増え、追いかける展開になる。「昨日と同じ展開だったので、焦りはなかった」と篠谷が振り返ったように、我慢強くレシーブしてチャンスを待つ。「同じところにレシーブをあげたり、同じ体勢で打たれてしまう」など篠谷が課題を口にしたが、好レシーブが続出する。最後まで我慢し、相手のミスを誘った山下/篠谷が21-18で接戦をものにした。
「海外で勝てず、なにか変えないといけない。コミュニケーションをとるようにしている(山下)」、「雲の上の存在という渡辺勇大/東野有紗のプレーを見て、工夫している(篠谷)」とさらなる進化を貪欲に求めるこの二人の今後が楽しみである。
『写真:日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:NBA 2022/T.KITAGAWA』