8月26日の見所(準々決勝)

男子シングルス

東京五輪金のアクセルセンが
五輪銅のギンティングと夢の対決

ビクター・アクセルセン(デンマーク)
ビクター・アクセルセン(デンマーク)

 いよいよトップ8が揃い、東京体育館を舞台に至高の戦いが展開される。
4大会ぶり2回目の優勝に向け突き進んでいるのは、東京五輪金のビクター・アクセルセン(デンマーク・WR1位)だ。

 多くの優勝候補が消えるなか、唯一、絶好調をアピールし、自信に溢れているアクセルセンが迎えるのは、東京五輪銅のアンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア・WR6位)。バドミントンに国技の誇りを持つ国民の期待を背負う25歳は、準々決勝で6戦全敗中の石宇奇(中国・WR 25位)を退け、「本当にうれしい」と初勝利を喜んだ。この61分の激闘で疲労は残るはずだが、明日に向けて、気持ちは切れてはいない。

アンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)
アンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)

 「アクセルセン選手はとても強いが、明日、やってみないと分からない。今日以上にタフでおもしろい試合になると思うので、期待しててください」

 194㎝のアクセルセンの鋭角ショットがさく裂する前に、ギンティングが得意のスマッシュ&ネットで先手を取れれば、勝機が見えてくるかもしれない。

対戦成績=ビクター・アクセルセンがギンティングに9勝4敗

周天成(チャイニーズ・タイペイ)
周天成(チャイニーズ・タイペイ)

 周天成(チャイニーズ・タイペイ・WR4位)VSヨナタン・クリスティ(インドネシア・WR7位)戦にも注目だ。筋肉隆々の2人が繰り出すスマッシュはまるで鉛玉のよう。互いに打ち合う打撃戦になれば、トップレベルのシャトルの威力に驚かされるはずだ。

ナタン・クリスティ(インドネシア)
ナタン・クリスティ(インドネシア)

 勝利の行方を占うのは難しい。世界ランキングでは周天成が上だが、勝率で上回るのはクリスティ。過去の9対戦のうち、5対戦がファイナルゲームにもつれており、金曜日も長く、スリリングな試合になりそうだ。

対戦成績=クリスティが周天成に6勝3敗

世界選手権・男子シングルス優勝者(2013~2021年)、2021年メダリストはこちら。

女子シングルス

日本のエース山口茜は
復活を期すリオ五輪金のキャロリーナ・マリンと熱戦か

キャロリーナ・マリン(スペイン)
キャロリーナ・マリン(スペイン)

 女子シングルス一番の好カードは、第1シードで2連覇のかかる山口茜(WR1位)と、史上最多4回目の世界タイトルを目指すスペインのキャロリーナ・マリン(WR5位)の対戦だ。

 昨年、左ひざの靭帯を断裂したマリンは、まだ復帰して間もなく、「今回、優勝は最優先にしていない」と語っていたが、3回戦で中国の何冰嬌(WR9位)にファイナルゲーム16-20から大逆転し、優勝への思いを膨らませている。「いままで自分がどれだけやれるか分からなかったけど、今日の対戦で自信がついた」とマリン。

 一方、マリンのメンタルの強さを知る山口は、「まずはプレーも気持ちも引かないように積極的にプレーしたい」と話し、「久しぶりの対戦が楽しみです」と思いを明かした。

 緊迫した場面で山口が強心臓のマリンをどう攻略するかが見ものになる。

対戦成績=山口茜がに5勝7敗

安洗瑩(韓国)
安洗瑩(韓国)

 パリ五輪後も活躍しそうな若手2人の対決も盛り上がりそうだ。韓国の安洗瑩(WR3位)は20歳、中国の韓悦(WR22位)は22歳。東京五輪後、ワールドツアーで5勝を上げた安洗瑩に、韓悦が挑戦する構図だが、攻撃型を自負する韓悦は「自分らしく攻めて、チャンスをつかみたい」と勝ちにこだわる。安洗瑩はこの勢いをどう止めるか。

 またぜひ見てほしいのが、安洗瑩の美しいオーバーヘッド。クリアーとカットを打ち分け、対戦相手を翻弄する姿をぜひ見てもらいたい。

対戦成績=安洗瑩が3勝1敗

世界選手権・女子シングルス優勝者(2013~2021年)、2021年メダリストはこちら。

男子ダブルス

連覇に突き進むホキコバは
インドのスターを突き放せるか

保木卓朗/小林優吾(日本)
保木卓朗/小林優吾(日本)

 大会3日目、第1シードのギデオン/スカムルヨ(インドネシア)が世界17位のイングランドペアに敗れる波乱が起きた。一方、第2シードの保木卓朗/小林優吾(日本・WR2位)は、順当にスコットランドペアに勝利。金曜日は、初めての準々決勝進出を「とてもうれしい」と喜ぶインドのサトウィクサイラジ・ランキレッディ/チラーグ・シェッティ(WR7位)を迎えることが決定した。

 184㎝&186㎝と長身のインドペアは、5月トマス杯でインドを初優勝に導いた立役者。保木/小林に対し「僕らの持ち味は高い打点からの攻撃。日本ペアにも攻めに持ち込みたい」と意気込んでいる。対する保木は「レシーブに回ったらきつくなるので、(前衛の)自分が前に行くスピードを意識的に上げてチャンスをつくりたい」と対策を明かした。

 日本とインド。どちらの戦術が功を奏するか。会場でしっかりと見極めてほしい。

対戦成績=保木卓朗/小林優吾が1勝1敗

世界選手権・男子ダブルス優勝者(2013~2021年)、2021年メダリストはこちら。

女子ダブルス

永原和可那/松本麻佑は前回銀と激突
志田千陽/松山奈未は、東京五輪銅に挑戦

永原和可那/松本麻佑(日本)
永原和可那/松本麻佑(日本)

 選ばれし者のみが足を踏み入れられる準々決勝の舞台に、日本からは2組が立つ。

 2大会ぶり3回目の優勝を狙う永原和可那/松本麻佑(WR6位)は、東京五輪4位で前回の銀メダリスト、李紹希/申昇瓉(WR3位)と激突する。

 3回戦で伸び盛りの中国ペアに13本9本の快勝を収めた永原/松本は、最近の不調について「いろいろ挑戦しすぎて失敗してしまった」と分析。今大会には「世界選手権で優勝したときのプレーを見直して」臨んでいる。

 明日も勝利のカギは、2人が「私たちの原点のプレー」と表現する速い展開の中での鋭い攻撃になりそうだ。韓国ペアには2勝7敗と分が悪いが、永原は「明日も引かずに前に出たい」と意気込む。

 一方、李紹希/申昇瓉は「(永原/松本は)ディフェンスが堅く、攻撃的な試合をするので難しい」と分析。勝負所で異常な強さを発揮する韓国ペアだけに、永原/松本はもつれる前に勝負を決めたいところだ。

対戦成績=永原和可那/松本麻佑が2勝7敗

 また今年の全英オープンを制し、勢いのある志田千陽/松山奈未(WR5位)は、東京五輪銅の金昭映/孔熙容(韓国・WR4位)に挑む。

 韓国ペアは8強決めの対戦で後輩ペアを2ゲームとも19本で下したように、最後は勝ち切るしぶとさがある。「ディフェンスが堅いというイメージです」と説明するのは松山だ。

 対する志田/松山は、足を使った速い攻撃が持ち味でどこまで対抗できるか。松山が前、志田が後ろに立つのが基本陣形だが、素早くローテーションしてどちらがどこに立っても攻められる。徹底的に打つ日本と、堅守に徹する韓国。どちらの我慢が最後に勝利を呼び込むか、見届けてほしい。

対戦成績=志田千陽/松山奈未が1勝3敗

世界選手権・女子シダブルス優勝者(2013~2021年)、2021年メダリストはこちら。

混合ダブルス

初V狙う渡辺/東野は
マレーシアのコンビネーションを崩せるか

渡辺勇大/東野有紗(日本)
渡辺勇大/東野有紗(日本)

 日本に初めての混合ダブルス優勝をもたらしたい渡辺勇大/東野有紗(WR3位)が3回戦を突破。金曜日は、マレーシアのゴー・スンファット/ライ・シェヴォン・ジェミー(WR14位)を迎える。

 コンビネーションに自信のあるマレーシアペアとの対戦成績は、日本が3勝1敗。分はよいが、渡辺は「明日は我慢比べになる。うまくシャトルを沈めて、相手を引かせたい」と次戦に向けて準備に余念がない。

 前々回銅、前回銀メダルで、「今回は金メダルしかない」と言い切る2人の強い思いも見てほしい。

対戦成績=渡辺勇大/東野有紗が2戦全勝

世界選手権・混合ダブルス優勝者(2013~2021年)、2021年メダリストはこちら。

『写真:日本バドミントン協会/T.KITAGAWA』
『PHOTO:NBA 2022/T.KITAGAWA』